鈴木ほねつぎ/鈴木整体研究所
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人間は二本の足で直立するようになり、両方の手を使うようになりました。また頭と背骨の位置関係も四つ足の動物とは違います。
このような構造の変化により、両上肢(腕)は頭や首から吊り下がっているようになりました。
また頭部は大きな動作が可能になった反面、それを支える筋肉に負担が掛かるようにもなりました。
それに加え、心理的なストレスや同じ姿勢を長時間続ける疲れも、現代社会が特に肩こりを引き起こす原因と思われます。
横ラインと縦ライン
単純に「肩こり」と言っても、人によって場所や原因が違います。またその肩こりの箇所の筋肉だけを治療しても、なかなか改善しません。
私は大まかに、「横ライン」と「縦ライン」の原因を考えています。
まず両手を使うことから、頭部の後ろから首の後ろ横、肩先、上腕、肘という横のラインがあります。
もう一つは、頭と首の後ろから真っ直ぐ下に行き、
背中、腰への縦のラインです。
この2つのラインは、全く別の物というわけではなく、互いに絡み合っています。その中で肩甲骨の位置や動きを見ることが重要となります。
気を付けなければならないこととして、内臓の問題が関わるケースです。
例えば心臓や胆嚢(たんのう)、肺臓などに病変があると、関連痛や直接の原因となることがあります。肩こり以外の症状があるかどうか、今までの病歴から推察できはしないかなどなど、注意する必要があります。
もう一つは頚椎のかなり強い変形による神経的な症状を伴っていないか、骨の病気や変形はないか、もあります。
腕の動きは大丈夫ですか?
横ラインを構成する筋肉として、上部・中部僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、棘上筋、棘下筋、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、上腕筋があります。
また肩甲骨と上腕骨で構成される肩関節の動きは必ずチェックする必要があります。これについては肩の障害の項目で詳しく説明することになると思います。
腕が動きにくくなれば、その分だけ肩甲骨を大きく動かすことになります。特に腕を上に上げる時など、肩関節が動かない分だけ肩甲骨を上げることになり、上部僧帽筋や肩甲挙筋という筋肉をより使うことになります。
また腕に重い物を持ったり下げたりしている時も、同じようなことが起こります。日々買い物袋を持つ主婦の方々、通勤にパソコンの入ったカバンを持ち運んでいる会社員の皆さんはよく分かるでしょう。
首、背中、腰と繋がっています。
次に縦のラインです。まずは頭を支える後部の筋肉として後頭下筋群があります。そして頭板状筋、頚板状筋があり、その上に上部僧帽筋があります。さらに深いところに頚腸肋筋、頭最長筋、頚最長筋といった筋肉が首から背中に走っています。
これらの筋肉は、頭を反らせたり左右に回したりする時に働く筋肉です。いつも顔を片方に向けたり傾けたりするような姿勢や、長時間パソコンとにらめっこをしているようなデスクワークは、筋肉を疲労させます。
ここで述べた横ライン、縦ラインはどちらかと言えば直接肩こりに関係する筋肉ですが、肩甲骨の位置に関係する筋肉や体の前についている筋肉も調べる必要があります。
例えば胸鎖乳突筋、肩甲下筋、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、斜角筋群、下部僧帽筋、広背筋といった筋肉があります。
さらに縦ラインの延長として、背部から腰部の筋肉、ひいては骨盤の状態から下肢の問題等々、肩こりに直接、間接かかわるとなれば、全身をみる必要があります。
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